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2025年 06月 03日 BLOG

「心の健康診断」ストレスチェック

<50人未満の小規模事業場でもストレスチェック義務化へ>

これまで、ストレスチェックは従業員50人以上の事業所に義務付けられていました。しかし、仕事上のストレスで精神疾患を発症するケースは年々増加しています。
そこで、厚生労働省は2024年11月に開かれた審議会で、従業員50人未満の小規模事業所も含めて、すべての事業所にストレスチェックを義務づける案を示しました。

その後、2025年3月14日に50人未満の小規模事業所でのストレスチェック義務化が盛り込まれた「労働安全衛生法及び作業環境測定法の一部を改正する法律案」が閣議決定され、国会に提出されました。
そして、2025年5月8日にこの法律案は衆議院で可決・成立しました。これにより、2025年中にすべての事業所でストレスチェックが義務化されることになります。

 

<今大注目のプレゼンティーイズムとアブセンティーイズム>

最近、産業保健分野で注目されているのが、プレゼンティーイズムとアブセンティーイズムです。

プレゼンティーイズム(presenteeism)は「疾病出勤」という意味で、体調不良を抱えながらも出勤して働いている状態のことです。
体調不良には、メンタルヘルスの不調だけでなく、風邪や花粉症、頭痛、肩こり、腰痛なども含まれます。
こうした状態では業務パフォーマンスが低下し、生産性が落ちてしまいます。企業にとっては「見えにくい損失」とも言われています。

一方、アブセンティーイズム(absenteeism)は、体調不良で休んでいる状態のことです。

これまではアブセンティーイズムの対策が重視されていましたが、実はプレゼンティーイズムの方が組織の生産性に大きな影響を与えると言われています。

 

<プレゼンティーイズムがなぜ問題なのか>

会社を休んでいる人の中には、ご家族のことや余暇で休みを取っている人もいると思います。
実際の体調不良で休んでいる人、つまりアブセンティーイズムは1割未満でしょう。残りの9割の出勤している人のうち、すべての人が100%のパフォーマンスで働けているとは限りません。
プレゼンティーイズムは、従業員の9割にも当てはまる可能性があるのです。だから、プレゼンティーイズムの問題は深刻なのです。

企業は、アブセンティーイズムやプレゼンティーイズムによる損失を改善する必要があります。
最近では、従業員の健康を経営的な視点で考え、戦略的に実践する「健康経営」が注目されており、企業での取り組みも広がっています。

健康経営のメリットとして、プレゼンティーイズムによる企業リスクの回避が挙げられます。
医療費や保健費などの健康関連総コスト(※1)を下げるだけでなく、従業員のミスを減らし集中力を高めることで、作業効率の向上も期待できます。
また、健康経営は従業員の健康だけでなく、休職・離職のリスクを低下させ、業績やステークホルダーにも好影響を与えると言われています。

※1 健康関連総コストとは、企業や組織が従業員の健康に関連して負担する全てのコストです。医療費だけでなく、労働生産性に関わる損失も含まれます。

健康関連総コストで見ると、医療費は全体の15.9%に過ぎず、79.1%がプレゼンティーイズムによるものという試算も出ています。(アブセンティーイズムはわずか3.7%)

厚生労働省保険局 データヘルス・健康経営を推進するためのコラボヘルス ガイドライン p.91
https://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-12401000-Hokenkyoku-Soumuka/0000171483.pdf

このように、プレゼンティーイズムは、労働生産性の損失(間接費用)として、医療費やアブセンティーイズムよりも大きな問題になっています。
これらのコストを把握し、適切な健康管理対策を講じることで、企業は従業員の健康を維持し、生産性を向上させることができます。

前述したように、プレゼンティーイズムは「見えにくい」不調による損失であるため、まずはプレゼンティーイズムを測定・把握することが改善の第一歩になります。

 

<“プレゼンティーイズム”も測定できる!最新のストレスチェック>

弊会が提供している高機能なストレスチェックでは、オプションとして設問を追加することでプレゼンティーイズムの平均値、総合リスク値など、尺度ごとの全国偏差値を算出できます。
これらの数値が可視化されることで、効果的に改善を進めることができ、また、健康経営優良法人認定制度への対応の一部にも役立てていただけます。

「健康経営優良法人認定制度」とは、経済産業省が企業の健康経営の取り組みを促進するため、2016年に創設された評価制度です。
業務パフォーマンス指標(アブセンティーイズム、プレゼンティーイズム、ワークエンゲイジメント)の測定が求められ、それに対応できる設問の一部となっています。

参考1)企業の「健康経営」ガイドブック~連携・協働による健康づくりのススメ~
https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/healthcare/kenkokeiei-guidebook2804.pdf

参考2)経済産業省 令和3年度 健康経営度調査【サンプル】
https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/healthcare/kenkokeieidochosa_2022sample.pdf
「【設問】43/46」

参考3)健康経営の推進について 令和4年6月経済産業省ヘルスケア産業課
https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/healthcare/downloadfiles/kenkokeiei_gaiyo.pdf
※弊会でご提供しているプレゼンティーイズムの設問は「SPQ(Single-Item Presenteeism Question 東大1項目版)」を用いています。


★ ストレスチェックは「心の健康診断」です★
皆さまの職場ではどのようなストレス対策をしていますか?ストレスチェックを定期的に実施することで、従業員の心の健康を守り、職場全体の生産性や満足度を高めることができます。

私たちは従業員の健康と職場環境の改善をサポートするために、専門的なストレスチェックサービスを提供しています。
皆さまの健康と快適な職場環境作りをお手伝いさせていただきますので、ストレスチェックについてのご相談は、ぜひ弊会までお気軽にお問合せください!

 

 

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