胸部X線検査について
健康診断における胸部X線検査は、肺癌や肺結核などの無症状で進行しうる肺の病気を早期発見できる場合があります。
日本ではかつて結核が猛威を振るっていたので、結核予防法により結核健診として胸部X線検査を広く行っていました。結核は低蔓延状態になりましたが、現在は肺癌の早期発見を目指して肺がん検診の主な検査方法として、胸部X線検査は行われています。なお、結核については日本の周辺国では、結核はまだ中ないし高蔓延状態であり、日本語学校生や技能実習生に対する入国前後の健康診断における胸部X線検査の役割は大きいです。
肺がん検診においては、なるべく早期に発見して治療による治癒をめざしていますが、理想的な健診を行うには必須の条件があります。まず、肺がん検診の対象者(40歳以上)は、毎年健康診断を受けることが大切です。去年健診を受けていたらもっと早く見つけられたのではという事例に出会うことはまれではありません。そして、健診では読影が可能な胸部X線画像を得ることが大切です。質の悪い胸部X線画像は見落としの原因に成り得ます。
当センターでは胸部X線画像の質を確保するために、毎年胸部X線画像を評価する会合に参加して研鑽を積んでいます。そして、適切な技術を持った読影医が読影することが大切です。原則的には、2人の専門医が読影して見落とし予防に努めることが必要です。
最後に要精密検査という報告を受けたら症状がなくても早めに専門の病院で詳しい検査を受けることが肝要です。
近年AIを活用した胸部X線画像の読影支援ソフトを導入する健診機関が増えてきました。胸部X線画像を適切に読影できる医師の人数が減ってきているのかも知れません。まだ、AIによる読影能力は専門医の領域には到達していないようですが、今後deep learningを繰り返して、読影能力が上がれば、疲れ知らずの頼もしい読影医が登場するかも知れません。

肺癌の治療は、手術、抗癌剤、放射線などがありますが、どの治療も副作用があり、手術では肺を一部失います。肺癌にならないに越したことはありません。禁煙(受動喫煙を含む)こそが、肺癌(COPDもそうです)の最善の予防方法(一次予防)です。近年喫煙率が低下していることは喜ばしい限りです。禁煙治療も、成功率が高い治療薬が製造過程の問題が解決され、昨年末に再登場しています。
田川副所長